亜大「断ったのに」ロッテに激怒/ドラフト回顧録2

<ドラフト回顧録2>

26日に運命のドラフト会議が行われる。悲喜こもごも…数々のドラマを生んできた同会議だが、過去の名場面を「ドラフト回顧録」と題し、当時のドラフト翌日付の紙面から振り返る。

   ◇   ◇   ◇

<90年11月25日付、日刊スポーツ紙面掲載>

亜大の左腕・小池秀郎投手(21)が、涙でロッテの1位指名を拒否、浪人も辞さない構えを見せた。プロ野球新人選択会議(ドラフト会議)は24日、東京・港区の新高輪プリンスホテルで行われ、同投手に昨年の野茂(近鉄)と並ぶ8球団が集中。ロッテが交渉権を得たが、小池は拒否。相談役の亜大・矢野総監督は、浪人をも示唆した。

   ◇   ◇   ◇

約15分間の記者会見で辛うじてこらえていた涙が止まらなかった。小池の真っ赤な目から大粒の涙が流れ落ちた。東京・武蔵野市にある亜大キャンパス。会見場となった3号館大教室から、矢野祐弘監督(59)の待つ1号館学生課へ向かう道のりでのことだった。部屋に入ると、チームメートも声をかけるのをためらうほど、泣いた。

あまりのショックに、声は出ない。それは、記者会見でも同じだった。

小池 今は何も言えない。すみません、何も言えません。

ショックと同時に、怒りもあった。つい2日前(22日)ロッテ側スカウトの訪問を受けた際、しっかりと拒否を伝えていた。「あれだけ断ったのにどうして指名したのか、という怒りでいっぱいです。すべては総監督さんと相談して決めますが、ロッテに行かない気持ちが強いです」。

会見場に詰めかけた約300人の学生からも、ロッテ松井オーナー代行が当たりクジを両手でかざした瞬間、悲鳴とブーイングが飛び出した。そんな怒りは矢野総監督も同じだった。「ロッテは、12球団の中で最も拒否したかった球団の1つ。本人は泣いているし、かわいそうで声をかけられない」。

そして、小池を「浪人」させる腹づもりまで口にした。「元木のように浪人させて、行きたい球団に行けるのなら社会人(熊谷組)入りでなく、そういう方法もある。本人もワンクッション置くことに悔いはないだろうし、自分の手元でフォークを完成させてからでも遅くないという持論はある」とハッキリ言い切った。

プロでローテーション入りするには、この方がいいとさえ言う。亜大コーチとして、野球部に残すことも同総監督の頭にあった。「そういうこと(コーチ)もある」と付け加えていた。「小池は頑固ですから、(ロッテ入りを)勧めることはしません」。

午後3時20分、小池はチームメート10人に囲まれ学生課を抜け出した。下宿先である川崎市の関勝治さん(亜大野球部OB会副会長)宅にも帰らないまま。関さんには「2、3日帰りません」と連絡してきた。

突如姿を消して、ロッテ側からすれば連絡さえ取れない事態になっていた。午後8時前、それまで電話口に出ることさえ拒否していた矢野総監督が、ロッテ醍醐スカウト部長の電話を受けた。が「今後も私は会うつもりはない」と荒々しく語るだけだった。

あの野茂と並ぶ8球団からの指名。意中のヤクルト、巨人、西武なら、小池はこの日のうちにプロ入り表明する心づもりだった。そんなプロ志望の人気左腕投手は一転、ちょうど1年前の元木になる可能性さえ出てきた。

★契約金は1億円以上 ロッテ0・01%にかける

8分の1の確率を手中にした喜びもつかの間だった。失意の小池が雲隠れしてしまった、との情報が入ってくるまで、醍醐スカウト部長が、ようやく亜大の矢野総監督と電話連絡が取れたのは午後7時55分になってから。しかも、そのやりとりは今後への不安ばかりが強まる内容だったようだ。

「本人は非常に残念がっていた、ということでした」。指名後、最初のコンタクトを終えて報道陣に囲まれた醍醐スカウト部長の顔は厳しかった。早くても26日以降に次の連絡を取ることに。いきなり冷却期間を置くことが、小池どりのスタートとなってしまったのだから無理もない。

もちろん難攻不落は覚悟していた。小池にとって最も行きたくない球団の1つにロッテの名前があるのも承知しながらの、強行指名だった。7度目の1位指名競合抽選で初めて「選択確定」の印を引き当てた松井オーナー代行は、即座に異例の出馬を宣言した。「村田君も引退したし、どうしても必要な選手だから指名したんです。ロッテ球団というより、ロッテグループの総力を結集して獲得を目指したい。監督はもちろん私も出馬するつもりです」と条件面でも1億円以上の掲示を考えている。金田監督も「そういう状況になったら出ていくつもり」と言い切った。

2年後には本拠地が千葉に移転する方向もあり、すっかり定着してしまった感じのゴタゴタイメージを一気に払しょくしようと、危険覚悟で踏み切った小池1位。「(交渉は)命懸けでやります」と醍醐部長が言えば、飯塚スカウトも「0・01%の可能性にかけてみる」と悲壮感を漂わせる。まさにチームの浮沈をかけての総動員態勢で、失意の小池の胸中に変化を生じさせることができるか。

◆同僚の高津はヤクルト3位

「小池と一緒なら本当に良かったのにな……」。亜大の2番手投手、高津臣吾(4年=広島工)は、ヤクルト3位指名に複雑な表情を浮かべた。

華やかにヤクルト、巨人、西武を逆指名した小池に対して、高津は神宮大会出場後「取ってくれるなら、どこでも」と全球団OKを打ち出していた。皮肉なことに、その高津がヤクルトに入り、ヤクルトを熱望した小池はロッテに。

高津にしてみれば晴れてプロへの道が開けたわけだが、笑顔はない。「本当なら素直に喜んでいいのでしょうが、テレビに映っていた小池のことを思うと……」と目頭を押さえた。

※記録と表記などは当時のもの【写真】小池がロッテ1位指名を拒否したことを報じる日刊スポーツ紙面

続きはこちら

  • tful*****

    ドラフトの超目玉ならば当時のロッテの川崎球場を本拠地で投げたいと思わない人がいても不思議ではなかったスタンドでファン同士がキャッチボール、流しそうめん等を楽しんだりしていたほど客席はガラガラ状態だったその後に球場がガラガラ状態の近鉄に行ったのはなぜと思ってしまったのはよく覚えている

    • ubix*****

      ↑長野は実際に拒否してるやん

    • wguq*****

      ↑みんな巨人好きだからね。

    • droi*****

      ↑沢村、長野、菅野なら拒否だろうけどね。

    • nha*****

      当時は事情が違うからね今でこそロッテに指名されてうれしくない選手なぞいないはずだけど

    • ylfs*****

      藤井寺球場も余り入らないイメージが有ります。ホームラン打った時の花火好きだわ

  • wjjc*****

    事前に断りを入れることで指名見送りってのがまかり通るなら、ドラフトの意味が無いんだよな。完全ウェーバー制にして、逆に指名拒否のペナルティなくせば良いのに。

    • vjdh*****

      当時はFA制度も無く選手には移籍の自由が無かったので、入団時以外選手側に選ぶ権利が無かったですから。それに意中の球団を公表したり指名拒否にも、今より世間の理解もありましたし。

    • sgs*****

      完全ウェーバー制は大物候補が現れた時に下位チームがわざと最下位になって獲得しようとする恐れが有るからな。やるとしたらNBAみたいにCSに出場出来なかったチームによるくじ引きで指名順を決めるのが1番だと思いますね。

    • udx*****

      NBAのタンキング防止は良いルールですよね。ただ、指名拒否できないルールにするなら年数契約と契約終了と同時にFAになれる制度を導入しないとプロ野球は一つのチームに拘束される期間が長すぎると思います。ただ契約に応じて市場が動くようにするとマネーゲームで戦力差が発生するので、サラリーキャップと超過金というNBAと同じシステムにした方がいい。戦力均衡を図ってエンタメ性を高めるアメリカンスポーツのシステムはリーグの競争力を高める意味では理にかなっていると思います。

  • bwqw*****

    今の若い子達は知らないかもしれないけど、当時のロッテはそういう位置付けでした。今は千葉に移転し、熱狂的なファンに支えられている良いチームですね!

    • hwp*****

      反日球団万歳

    • aqook*****

      どこがいい球団なん?コロナでおもいっきり嘘つきまくってるんですが…他の球団を危険に晒すようなことはやめてほしい。迷惑かけないでほしいね、まじで

  • amic*****

    元近鉄ファンだが、その小池が後に近鉄に入った時は何とも複雑な気分になった。同じパリーグのファンとして、ロッテファンの気持ちは分かるので。

    • ofyjg*****

      スタンドで観客が流しそうめんしたり、雀卓を囲ってるような球場をホームにしてる当時のロッテには行きたくない気持ちはわかる。そう考えると千葉に移転して本当に良かった。

      • hng*****

        球団には指名する権利があった、選手は拒否する権利がある。それだけ。小池もロッテもルールの中でやったこと。行きたくない球団だったのは残念かもだけど、嫌われてても欲しいと思われたことを誇っても良かったのでは。

        • wgbx*****

          誇ってもいいって言われても、やっぱ人生の分かれ道を誰かに決められる、しかもそれが行きたくない方に行ってしまったら、本人の気持ちとしては、他人には測れない気持ちでしょう。

      • jykk*****

        ホークスファンです。当時のロッテなら仕方ないと思います。でも今では企業努力により、こんなことにならない球団になりました。今では素晴らしい球団です。

        • pnxw*****

          素晴らしいよね隠蔽失敗してもあまりに不人気球団だから全然騒がれないしww

        • wtc*****

          そもそも指名されるだけでもありがたいと思えってなその辺は昔も今も変わらないけど、世の中にはプロになりたくてもなれず諦めていった人の方が多いことを考えたら普通は入団拒否なんて選択肢はないはずだよ

        • mmkd*****

          というか、あれ本当は指名するの諦めていたのに当日になってカネヤンが投票用紙に勝手に小池の名前書き込んでさっさと提出してしまったって話だからねぇそんな監督を選んでしまった球団と言えばそれまでだろうけど

      • cmmmi*****

        超目玉選手ならば、事前に断り があっても行くでしょうね〜。当時から過去に遡って、指名権取り 1年掛けて入団させた例もあるし、翻意が覆る可能性もある。小池本人でしょう。社会人経由で評価を落とし その後、本来の力を発揮できたのか が疑問。旬のときに入団してたら〜と思う選手が数多く見受けられるよ。

        • ahn*****

          嫌な球団だったんだろうけど、断りかたがあったんじゃないかなと思うな。監督か忘れたけど、誰かと一緒になって球団の悪口言われてファンとしては辛かった。確かに当時ロッテは超不人気の球団だったけど、その後、野球界の後輩が頑張ってあの時よりも人気のある球団になりました。その選手たちの方がカッコいいね。

          • dvql*****

            当時のロッテは今とは球団名も違えばファンの数も雲泥の差です。8球団も指名するような選手なら行きたくないと思うのは当然でしょう!ドラフトは人様が引くクジで選手の人生が左右されてしまうので、残酷です。ただ、松下電器を経由して、のちに入った球団が近鉄でしょ?賛否ありますが、近鉄がOKだった理由はなんだったのかな?

            • jqmr*****

              大学の時より確か評価を落としてたからだったと思う。